楽曲解説

  1. 1ウィナーズ4:18
  2. 2アンリ・ファルマンの飛行6:28
  3. 3この美しき空に4:20
  4. 4夏空の彼方へ7:07
  5. 5天空へ...6:58
  6. 6狂詩曲「⁠サウンド・バリアー」8:18
  7. 7時間が空間を舞う8:04
  8. 8古希18:53

ウィナーズ―吹奏楽のための行進曲⁠(⁠改訂版)

Winners: Concert march for wind orchestra

諏訪雅彦指揮 演奏班長 3等空佐 芳賀 大輔

誰もいない朝の競技場から始まる、2003年の課題曲

サッカー好きの諏訪雅彦がこの曲を書いたのは、日韓ワールドカップがあった2002年。冒頭のトランペット・ソロには、夜の試合を待つ朝の競技場を重ねた。翌2003年、この曲は吹奏楽コンクールの課題曲になった。ただ、諏訪は応募のときに約4分へ収めようとして、2小節を削っていた。改訂版ではその2小節と冒頭のテンポを元に戻し、楽器の重ね方と強弱の指示も見直している。諏訪本人が、課題曲版より音楽が落ち着いて聴こえるはずだと話し、これから演奏するバンドにこの改訂版を勧めている。

こんなバンドに
演奏会の1曲目や式典で演奏する4分ほどのマーチを探しているバンド。課題曲版を吹いたことがある人にもすすめたい。

4:18/グレード3.5/第13回朝日作曲賞/2003年度課題曲

CAFUAのおすすめ

おすすめの楽団

演奏会の幕開けや式典で、きちんと聴かせるマーチを1曲持っておきたいバンドにすすめます。グレード3.5で4分ほど。中学・高校から一般のバンドまで、プログラムの最初に置きやすい曲です。

2003年に課題曲版を吹いた世代が指導者や団員にいるなら、改訂版でどこが変わったかを話題にしながら練習できます。

演奏のポイント

聴かせどころは冒頭のトランペット・ソロです。作曲者が思い描いたのは、夜の試合を待つ朝の誰もいない競技場。その景色を奏者と共有してから吹くと、ソロの音色が決まりやすくなります。

改訂版では削られていた2小節と冒頭のテンポが元に戻り、作曲者は中間部の時間のバランスがよくなったと話しています。急がずに、課題曲版より落ち着いたテンポ感で組み立ててください。

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作曲者による解説

第13回朝日作曲賞受賞作品(2003年課題曲)を、わずかに改訂した版です。

中学高校時代の習作を除けば私にとって初めての吹奏楽曲となるこの曲を朝日作曲賞に応募したのは、日韓共同開催のサッカーW杯があった2002年でした。

吹奏楽の世界に詳しくなかった私は、朝日作曲賞の募集要項の実情も分からず、当時は「~約4分」だったと思いますが、4分を超えると減点対象になったりするのではないか、とも考え、メトロノーム•テンポでの計算上ぎりぎり4分に入るように、できあがっていたものをわずかに短縮したり、テンポ設定をぎりぎり上限にして応募しました。

課題曲に決まってから、それらを元に戻すことも可能だと分かり、それなら、と思っていたのですが、この年の浄書作業は彼是トラブルが相次ぎ、参考演奏の録音にパート譜のレイアウト校正が間に合わない、と言う状況で、作業工程を増やすことに躊躇しているうちに時間切れになってしまった、と言う次第です。

今回の改訂は、割愛した2小節(練習番号[12]と[13]の直前)と冒頭のテンポを元に戻すこと、気になっていた部分のオーケストレーションの改善、細かくなり過ぎた強弱指示の訂正・簡略化、等です。課題曲版と大きな違いはありませんが、特に中間部の時間のバランス等、改善されたと思います。これから演奏される際は、ぜひこちらの版を試して頂けたらと思います。

この曲が演奏審査で最初に音になったのは、ちょうどW杯期間中でしたが、今回、航空中央音楽隊の皆さんのパワフルな演奏で久しぶりに聴かせて頂いたのも、やはりW杯期間中という偶然。曲の内容ゆえの巡り合わせかもしれません。

作曲者について

長野県岡谷市生まれ。本名・佐藤正。東京芸術大学作曲科中退。
主な吹奏楽作品:『16世紀のシャンソンによる変奏曲』(第19回朝日作曲賞)、『丘の上で』、『風の歌Ⅰ』他

アンリ・ファルマンの飛行⁠(⁠2026改訂版)【⁠小編成対応】

The First Flight of HENRI FARMAN

坂井貴祐指揮 1等空尉 原田 悠生

日本の空を初めて飛んだ飛行機は、どんな景色を見たのか

1910年12月19日、徳川好敏大尉がフランス製の複葉機アンリ・ファルマン号で飛び立った。高さは約70メートル、距離は約3000メートル。この飛行が、日本で初めての動力飛行として公式に認められている。坂井貴祐は2009年、この史実を題材に曲を書いた。初めての飛行で見えた日本の空を想像しながら聴いて、演奏してほしいと坂井は話す。曲への挑戦がバンドの次の一歩になるように、という願いも込めた。20人ほどで演奏でき、全体にピアノが入るので、もっと少ない人数でも取り組める。収録したのは、今回の録音に合わせた2026年の改訂版。

こんなバンドに
20人前後で今より一段上の曲に挑みたい中学・高校のバンド。演奏時間は6分半で、コンクールの自由曲にも収まる。

6:28/グレード3/小編成対応⁠(⁠20人程度、さらに少人数も可)/2009年作曲/2026年改訂

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おすすめの楽団

部員が20人前後で、今の実力より一段上の曲に挑みたい中学・高校のバンドにすすめます。全体にピアノが入るので、もっと少ない人数でも取り組めます。6分半という長さは、コンクールの自由曲にも合います。

演奏のポイント

題材は1910年の日本初の動力飛行です。高さ約70メートル、距離約3000メートルという飛行の記録を、まず部員みんなで調べてみてください。初めて空から見た景色を想像すると、場面ごとの音量やテンポの変化に理由が持てます。

作曲者は、この曲に取り組むことが今後の活動の礎になってほしいと書いています。仕上げるまでの過程そのものを、バンドの目標にしてください。

配信で聴く(11月13日配信開始)楽譜サンプル(準備中)楽譜を買う(準備中)
作曲者による解説

1910年12月19日、徳川好敏大尉は「フランス製アンリ・ファルマン1910年型複葉機」に乗り込み、高度約70m、距離約3000mの飛行を成功させました。これが日本初の動力飛行として公認されることになるわけですが、この作品では、その成功を楽器の演奏に重ね合わせ、「この曲を初めて取り組むことにより、さらに上へ飛翔してほしい」「この曲の取り組みによって、今後の活動の礎となるような新たな発見をしてほしい」との思いが込められています。

2009年、茨城県古河市立三和北中学校吹奏楽部の委嘱により作曲。2026年、CAFUAセレクションの収録に伴い改訂。

作曲者について

1977年北海道生まれ。北海道中標津高等学校を卒業後、尚美学園短期大学(現・尚美学園大学)音楽学科作曲専攻を経て東京ミュージック&メディアアーツ尚美 音楽芸術表現コース(現・尚美ミュージックカレッジ 音楽総合アカデミー学科3・4年次)を卒業。卒業後は大村哲弥氏のもとで約2年間研鑽を積む。これまでに作曲を松下功、大村哲弥、延原祐の各氏に師事。

2000年、「セレモニアル・マーチ」が日本吹奏楽指導者協会(JBA)「下谷賞」(最高賞)を受賞。同作品は2005・2006年度の中部日本吹奏楽コンクール課題曲にも選定された。
2015年開催の第70回国民体育大会「紀の国わかやま国体」および2019年開催の第32回全国健康福祉祭「ねんりんピック紀の国わかやま」では入場行進曲を全曲担当。作編曲作品の多くは、ブレーンミュージック、CAFUA、DeHaske、フォスターミュージック、ネクサス音楽出版、ロケットミュージック、ウインドアート出版等から出版 またはレンタルされている。21世紀の吹奏楽“響宴”実行委員。URL:https://www.sakai-takamasa.com/

祝典のためのファンファーレとプロセッション「⁠この美しき空に」

To the Azure - Fanfare and Processional for a Celebration

中橋愛生指揮 演奏班長 3等空佐 芳賀 大輔

記念の演奏会の幕開けに。ファンファーレで始まる祝典行進曲

中橋愛生は2016年、祝典のためにこの曲を書いた。短いファンファーレで始まり、行進曲へ進む。思い描いたのは秋田の空だ。中橋によれば、秋田は日本でいちばん日照時間が短い県で、だからこそ青空が美しい。手がかりにしたのは、秋田生まれの舞踏家・土方巽が遺した「美貌の青空」という言葉。曲の中心になる3つの音はミ・ソ・ラで、「美空(みそら)」と読める。美しい空と、未来へ飛び立つ人を祝う行進曲だ。

こんなバンドに
周年記念の演奏会や式典で幕開けの1曲を探しているバンド。

4:20/グレード3/2016年作曲

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おすすめの楽団

創立記念や周年の演奏会、式典の幕開けにすすめます。高校吹奏楽部の創部60周年記念の定期演奏会のために書かれた曲で、記念の場で演奏されることを前提にできています。グレード3、4分強なので、プログラムの最初に置いても負担になりません。

演奏のポイント

曲の中心にあるのは、ミ・ソ・ラ(E-G-A)の3つの音でできた動機です。ファンファーレでも行進曲でも、この3音がどこに出てくるかを全員で確かめておくと、曲全体のまとまりが見えてきます。

テーマは秋田の澄んだ青空です。重く押し出すより、明るく抜けのよい響きをめざしてください。

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作曲者による解説

秋田県立湯沢高等学校吹奏楽部の創部60周年記念・第50回定期演奏会のため2016年に作曲。行進曲を、との要望だったため、短いファンファーレの序奏を持つ式典行進曲とした。

秋田生まれの舞踏家・土方巽が遺した一文に「美貌の青空」という言葉がある。最も日照時間が短い県である秋田の地だからこそ、青空は美しい。母の実家が秋田県であったことから幼少の頃よりかの地を度々訪れていた私の記憶のなかでも、凛とした空気に広がる蒼く美しい空は印象的だ。

この曲は、湯沢の地から美しい空・未来へ向かって飛翔する人々への祝典行進曲。動機は「美空(ミソラ)」にちなんだ「E-G-A」という音列より作られている。

作曲者について

1978年生。東京音楽大学および同大学院を修了。日本音楽コンクール作曲部門(管弦楽作品)第三位、日本管打・吹奏楽学会アカデミー賞、日本吹奏楽指導者協会「下谷奨励賞」を受賞。作品は東京佼成ウインドオーケストラ、シエナ・ウインド・オーケストラ、陸上自衛隊中央音楽隊などによって初演されている。NHK-FM「吹奏楽のひびき」パーソナリティも務めている。

作曲を吉田峰明、池辺晋一郎、湯浅譲二、西村朗の各氏に、指揮法を汐澤安彦氏に師事。東京音楽大学教授、国立音楽大学・日本大学芸術学部各講師。2024年より東京佼成ウインドオーケストラ楽芸員。

夏空の彼方へ【⁠小編成対応】

Beyond the Summer Sky

下田和輝指揮 副隊長 2等空佐 朽方 聡

9人から大編成まで。日本の夏空を吹く

どこまでも高い青空、わき上がる入道雲、空を映すひんやりした水面。下田和輝はこうした日本の夏の景色に、自分の記憶を重ねた。岩手で過ごした中学と高校の夏は、トランペットとユーフォニアムの練習に夢中だったという。曲の中のトランペットとユーフォニアムのソロは、その頃にささげたものだ。もとは9人のための曲で、今回は30人ほどに広げた編成で録音した。楽譜は9人でも演奏可能となっている。

こんなバンドに
人数の少ないバンドや、年によって人数が変わるバンド。9人でも30人でも同じ曲を演奏できる。

7:07/グレード3/小編成対応⁠(⁠9人から大編成まで)/2024年作曲/ソロはトランペットとユーフォニアム/打楽器は代替パートで1人でも可

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おすすめの楽団

9人のバンドでも、30人のバンドでも、同じ楽譜で演奏できます。部員の少ないバンドや、年によって人数が大きく変わるバンドにすすめます。打楽器は代替パートを使えば1人でも演奏できるので、打楽器奏者が足りないときも安心です。

演奏のポイント

聴かせどころはトランペットとユーフォニアムのソロです。作曲者が中学・高校時代に夢中で吹いていた2つの楽器で、その頃の夏の記憶が込められています。ソロを担当する奏者には、自分の夏の思い出を重ねて吹いてもらってください。

青空、入道雲、空を映す水面。場面ごとにどの景色なのかをバンド全体で共有しておくと、音色の変化が付けやすくなります。

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作曲者による解説

この作品は、『「Wind Works」-9人の管打楽器奏者による極小編成吹奏楽団体-』のために2024年3月に作曲され、2024年4月に行われた「Wind Works Concert Vol.3 東京公演」にて初演されました。

どこまでも高く広がる深い青空。
モコモコと高くわき上がる白い入道雲。
青い空を映すひんやりとした水面。

日本の夏に広がる空や、季節がもたらす情緒・風情をイメージして作曲しました。
同時にこの作品には、私の出身地である岩手で過ごした中学・高校時代の夏の記憶も重ねています。
中学校ではトランペット、高校ではユーフォニアムに打ち込み、吹奏楽コンクールや定期演奏会に向けて夢中で練習した日々は、今でも鮮やかに心に残っています。
トランペットとユーフォニアムのソロには、そんな青春時代へのささやかなオマージュを込めました。

オプショナル楽器を除き最少9人から演奏が可能です。
ティンパニを含む打楽器は5人いることが望ましいですが、打楽器の人数が少ない場合は【Percussion(Alternative)】パートを用いて1人で演奏することも可能となっています。是非ご活用ください。

作曲者について

作曲家、編曲家、指揮者、教育者として、幅広いジャンルで活動する音楽家。
日本国内はもちろん、アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダ、アメリカ合衆国など世界各地で吹奏楽作品が頻繁に演奏されている。

岩手県洋野町出身、東京在住。
洋野町立種市中学校及び岩手県立久慈高等学校を経て、2014年3月、尚美ミュージックカレッジ専門学校音楽総合アカデミー学科作曲コース(4年制)を卒業。
作曲を菊池幸夫、高橋伸哉、広瀬勇人の各氏に師事。

世界最大級の音楽教育の祭典「ミッドウェスト・クリニック」主催「2024年バーバラ・ビュールマン作曲賞」において、吹奏楽作品「Thawing」が第1位を受賞。
2014年の「第5回 日本管打・吹奏楽学会作曲賞」において、吹奏楽作品「オータム・ファンタジー」が作曲賞(第1位)を受賞。
2017年の「第50回 JBA下谷賞」において、吹奏楽作品「DaJa ~南部地方盆唄『ナニャドヤラ』による~」が下谷賞を受賞。
そのほか、国内外問わず数々の作曲賞を受賞している。

東京吹奏楽団やフィルハーモニック・ウインズ大阪、航空自衛隊の各航空音楽隊、WISH Wind Orchestraなどプロ吹奏楽団への作編曲作品提供や日本各地の学校吹奏楽部・一般吹奏楽団の委嘱作品作曲など、吹奏楽の作曲・編曲を中心に活動をする傍ら、吹奏楽コンクールの審査員・アンサンブルコンテスト審査員や吹奏楽関連雑誌の執筆なども務め幅広く活動をしている。
また、作編曲作品の楽譜はブレーンミュージック、フォスターミュージック、CAFUA、ウィンズスコア、ロケットミュージック等の楽譜出版社から出版・レンタルされている。

近年は吹奏楽の分野にとどまらず、ポストクラシカル、アンビエント、エレクトロニカといった音楽ジャンルに根ざしたピアノを中心とした音楽にも創作活動の幅を広げている。吹奏楽のための作曲家としての活動に加え、音楽制作や即興演奏にも積極的に取り組み、静謐さ、内省、そして繊細な感情の深みを特徴とする独自の音楽言語を発展させている。

2024年度より、母校である尚美ミュージックカレッジ専門学校の講師を務めている。

下田和輝 公式ウェブサイト → Shimoda-Kazuki.net

天空へ... ウィンド・アンサンブルの為に【⁠小編成対応】

Toward the Heavenly Sky... for Wind Ensemble

三澤 慶指揮 演奏班長 3等空佐 芳賀 大輔

縦をそろえる合奏から、横に歌うアンサンブルへ

主題はソ、ラ、そこから一気に跳び上がるミの3音でできている。ミはドイツ音名でEと呼ぶので、「ソ・ラ・E」と並べると「そらへ」と読める。テンポや縦の線をそろえることより、フレーズの流れを自由に歌うことを大切にした曲だ。ソロや少人数のアンサンブルの聴かせどころも多い。三澤慶は2024年にこの曲を書き、今回、小編成から中編成のバンドに合わせて書き直した。三澤は、簡単な曲ではないと認めたうえで、ぜひ挑戦してほしいと語る。

こんなバンドに
小編成から中編成で、縦をそろえる練習の次に「⁠歌う」ことへ進みたいバンド。ソロを任せられる奏者がいるバンドなら、なお向いている。

6:58/グレード4/小編成対応⁠(⁠小編成から中編成向け)/2024年作曲

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おすすめの楽団

縦をそろえる練習はひととおりできて、次は音楽を「歌う」ことに取り組みたい小〜中編成のバンドにすすめます。ソロや少人数のアンサンブルの場面が多いので、ソロを任せられる奏者がいれば、その奏者の見せ場にもなります。

作曲者自身が簡単な曲ではないと言っていますが、そのぶん練習の手応えがある曲です。

演奏のポイント

主題は「ソ・ラ・ミ(E)」の3音で、「ソラエ」と読めます。勢いよく跳び上がるこの音型を、合奏の最初にみんなで歌ってみてください。

作曲者は、フレーズの揺らぎや和声の流れに沿った抑揚を自由に表現してほしいと書いています。指揮者が拍を刻みすぎず、奏者どうしが互いの音を聴いて流れを作る練習に向いています。

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作曲者による解説

2024年度水戸女子高等学校吹奏楽部委嘱作品。

子どもの頃に知ったなぞなぞの中にこのようなものがあった。

Q:空の上には何があるでしょう?

この、実に爽やかで空想を掻き立てるようなファンタジックな設問に対して「雲?宇宙?」などと頭を悩ませたのを今でも覚えている。
そして、その答えは「シド」なのであるが、発想の転換を必要とする実に良いなぞなぞであると、今でも思っている…

前年に続き、水戸女子高等学校吹奏楽部の委嘱作品として同校を率いる川村伸彦先生からオーダーをいただいた際に告げられたテーマは「飛翔」。
そして、そのことによって思い出したのが前述のなぞなぞなのである。
そこでメインテーマをまず「ソラ」から始め、どうせなら「シド」を飛び超え「ミ」へ一気に跳躍する「ソ-ラ-ミ」としたのだが、そこにはもう一つの伏線がある。この音列「ソ-ラ-ミ(ドイツ音名E)」を「ソラE」つまり「ソラエ」と読ませ、タイトル「天空(そら)へ」と関連付けをしたのである。
この音列を実際に楽器でなぞってみると、勢いよくジャンプアップするような印象があり、まさに「飛翔」のテーマとして相応しく感じる。
前作「リインカネーション」に引き続き、フレーズの揺らぎや和声の流れに沿った音楽の抑揚を自由に表現していただければ、と思う。

作曲者について

11歳よりトランペットを始める。15歳よりトランペットを元NHK交響楽団首席奏者、津堅直弘氏に師事。
東京音楽大学(器楽科)を2度の特待生奨学金を得て卒業。在学中作曲を有馬礼子氏に師事。
同大学を卒業後、主に国内のオーケストラへの客演や吹奏楽・ブラスアンサンブルなどを中心に演奏活動を行う。
作曲家として2006年度吹奏楽コンクール課題曲、「海へ…吹奏楽の為に」を作曲。2010年、シエナ・ウィンド・オーケストラ結成20周年記念作曲コンクール優勝。優勝曲「フェニックス・マーチ」が佐渡裕指揮により初演される。2012年、朝日作曲賞受賞。受賞曲「勇者のマズルカ」が2013年度吹奏楽コンクール課題曲として採用される。
特に金管アンサンブル作品ではこれまで7作を東海大学付属高輪台高等学校に書き下ろし、東京都代表として6度の全日本アンサンブルコンテストへの出場をサポートするなど多数発表。
その他、これまでに管弦楽・吹奏楽・室内楽を中心に600を超える作編曲作品を手がける。
また、各地のアマチュア愛好家との交流が深く、作品提供・客演指揮などを積極的に行う。
指揮者としてこれまでにブリッツ・フィルハーモニック・ウィンズ、テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ、東京室内管弦楽団などを指揮。
近年は地域でのプロとアマチュアの垣根、世代間の垣根を取り払った音楽・吹奏楽活動のデザインに注力している。
現在、作曲家、東京室内管弦楽団/トランペット奏者/エデュケーション・プログラム・アドバイザー/指揮者/理事、地域音楽コーディネーター、桜美林大学芸術文化学群非常勤講師。

狂詩曲「⁠サウンド・バリアー」

The Sound Barrier - Rhapsody for Orchestra Op.38

M.アーノルド/近藤久敦 編指揮 1等空尉 原田 悠生

金管に自信のあるバンドへ。音速の壁に挑む人々を描いた映画音楽

原曲は、マルコム・アーノルドが1952年のイギリス映画「超音ジェット機」のために書いた音楽。映画は音速の壁を破ろうとするパイロットたちを描いている。曲は「ゆっくり、速く、ゆっくり」の3つの部分に分かれる。ホルンが雄大に歌い、木管は上昇するジェット機のように駆け上がり、トランペットが華やかに鳴る。金管の見せ場が多く、そのぶん吹くのは大変だ。編曲した近藤久敦は1997年にこの版を書き、自分でも指揮した。今回の録音のリハーサルを聴いた近藤は、またやりたくなったと話す。

こんなバンドに
金管セクションに自信のある上級バンド。演奏会で金管を主役にしたいときにも合う。

8:18/グレード4.5/編曲 近藤久敦⁠(⁠1997年)

CAFUAのおすすめ

おすすめの楽団

金管セクションに自信のある上級バンドにすすめます。ホルンとトランペットに見せ場が多く、演奏会で金管を前に出したいときの1曲になります。空や飛行機、映画音楽をテーマにした演奏会にも組み込みやすい曲です。

演奏のポイント

曲は「ゆっくり・速く・ゆっくり」の3つの部分でできています。ホルンの雄大な歌、ジェット機の上昇を描く木管の駆け上がり、トランペットの華やかな響き。楽器ごとの役割がはっきりしているので、それぞれの見せ場をどう際立たせるかを先に決めておくと組み立てやすくなります。

音速の壁に挑むパイロットたちを描いた映画の音楽です。金管は吹き続ける場面が多いので、練習の配分にも気を配ってください。

配信で聴く(11月13日配信開始)楽譜サンプル(準備中)楽譜を買う(準備中)
作曲者による解説

この作品は、1952年に制作されたイギリス映画「超音ジェット機」(原題:The Sound Barrier)のための劇中音楽として、イギリスの作曲家、マルコム・アーノルドが作曲しました。
映画のあらすじは、航空会社を営む元パイロットの男が、音の壁(サウンド・バリアー)を突破する超音速機の開発に挑む姿、パイロットたちの命がけの挑戦とそれを支える多くの人々との人間模が描かれています。
作曲家のマルコム・アーノルドは、ロンドン王立音楽学校でトランペットを学び、ロンドン・フィルハーモニーなどでトランペット奏者として活躍し、30歳ごろからは作曲家として活動を始め公衆に親しみやすい作品を書いています。主要作品は、バレー音楽「女王への忠誠」、映画音楽「戦場にかける橋」、序曲「タモシャンター」、スコットランド舞曲集、金管五重奏曲などがあります。特に金管五重奏曲は重要なレパートリーとして多くの方に親しまれています。

曲全体は、緩急緩の三つの部分で構成され、映画での情景を思わせる管楽器による技巧的なパッセージがとても印象的です。特に、雄大なスケールをかもしだすホルン、ジェット機が上昇する様を表した木管群のパッセージ、華やかさと歓喜を感じさせるトランペットなど各楽器の特性が生かされた作品となっています。
1997年川口アンサンブルリベルテ吹奏楽団のために編曲し、同年の全日本吹奏楽コンクールで演奏いたしました。

編曲者について

1955年東京生まれ。
東京音楽大学付属高校、東京芸術大学器楽科(ホルン専攻)を経て、西ドイツ政府給費留学生としてベルリン芸術大学へ2年間留学。ホルンを故 薗 清隆、千葉 馨、安原正幸、F.ブラーデル、G.ザイフェルトの諸氏に師事。指揮を堤 俊作氏に師事。1974年、第43回音楽コンクール管楽器部門(ホルン)に19歳で入選。
1976年東京芸術大学卒業生代表として、皇居・桃華楽堂に於ける御前演奏会に出演。また、川口市在住の音楽家として演奏活動の功績を認められ、1995年度川口市芸術奨励賞音楽賞を受賞。1991年から1997年3月まで東京コンセルヴァトワール尚美(現 東京ミュージック&メディアアーツ尚美)において専任講師として教鞭を執った。2012年全日本吹奏楽連盟より長年指揮者賞受賞。
現在は指揮者として多くのオーケストラや吹奏楽団、オペラ、バレエ、ホルンアンサンブル 「つの笛集団」等で精力的に指揮活動を展開し、レコーディング 、吹奏楽クリニック、編曲等を含め幅広い分野で活躍しており、その手腕は高い評価を得ている。

ウィンドオーケストラのための「⁠時間が空間を舞う」

Toki is dancing in the Sora for wind orchestra

寺井尚行指揮 副隊長 2等空佐 朽方 聡

鳥の群れのような音と、奏者にまかされた自由

たくさんの鳥が、それぞれ違う声で一斉に鳴いている。この曲では、そんなふうに多くの楽器の細かい音が集まって、ひとつの大きな響きになる。その響きの上にはゆったりした旋律が重なり、長い時間と広い空間を表す。寺井尚行は2007年、祝いの曲としてこの作品を書いた。だから華やかに、できるだけ分かりやすくしたと振り返る。それでも楽譜は難しい。ただ、寺井がいちばん大切にしているのは生演奏の「ハート」だ。そのためソプラノサクソフォーンのソロは、奏者が思いきり自分を出すアドリブにまかせている。

こんなバンドに
難しい曲に本気で取り組みたい上級バンド。とくに、アドリブのソロを任せられるソプラノサクソフォーン奏者がいるバンド。

8:04/グレード4.5/2007年作曲/ソロはソプラノサクソフォーン

CAFUAのおすすめ

おすすめの楽団

難しい曲に本気で取り組みたい上級バンドにすすめます。とくに、アドリブでソロを吹けるソプラノサクソフォーン奏者がいるバンドなら、その奏者の個性をそのまま演奏会の聴きどころにできます。

初演ではコンピュータで音を変調する手法も使われましたが、現在は吹奏楽だけで演奏するのが主になっています。

演奏のポイント

たくさんの楽器の細かい音が集まって、ひとつの大きな響きになる「音群」がこの曲の特徴です。一人ひとりの音形を正確に吹くことと、全体でひとつの音色に聴こえることの両方をめざしてください。その上に乗るゆったりした旋律は、音群とはっきり対比させます。

ソプラノサクソフォーンのアドリブ・ソロは、作曲者が生演奏の「ハート」を託した部分です。決まった答えはありません。練習の段階から、奏者が思いきり自分を出せるように自由に試させてください。

配信で聴く(11月13日配信開始)楽譜サンプル(準備中)楽譜を買う(準備中)
作曲者による解説

「時間が空間を舞う」は、21世紀の吹奏楽 “響宴”が第10回目を迎えるに当たって創作した作品で、名古屋から白馬、日本海、立山へ、そして北アルプスを徘徊し、発想を醸成して完成したものです。お祝いの曲でもあり、全体的には、尖った表現にならないように、出来る限りオーソドックスな表現に留めた形で創作する様に心掛けて創作してあります。

吹奏楽の可能性を追い求める“響宴”の持つ懐の深さを表す意味合いもあり、初演の際には、先端的な表現も織り込む形で、コンピュータを使用して音声を変調する手法も融合させてありますが、“響宴”以後は、コンピュータを使用しない吹奏楽のみでの演奏が主になっています。

全体的には多様な手法で書いてありますが、それぞれが異なる鳴き声を発する多くの鳥が、群れで騒いでいる情景の様に、多数の音色や音形が一つの大きな音色と化すような音群が随所に使用してあります。その上で、音群とは対照的な、ゆったりしたモティーフが音群の上に乗っかる事で、広大な空間や時間を表現しています。アドリブを伴うソプラノサクソフォーンのソロと、テュッティとの対比も、そうした表現に通じます。

若い頃には、殆どの楽器を吹ける様にと、様々な楽器を練習をしていた作者自身としても(因みに、ファゴットは挫折していますが・・・)、この曲を書いている時点ですら、この吹奏楽作品の演奏は難しいだろうな、と言う想いで書いていたかと記憶しています。

ただ、作者自身は、この緊張感を伴うライブ感が大好物であり、普段の先端的表現であっても、緊張感の中でのコンサートが大好物です。出来れば、盛り盛りの緊張感の中で、視聴後や演奏後にも素敵なひと時をお楽しみいただけると幸いです。

作曲者について

生演奏、電子音響、フィジカル音響、マルチチャンネル映像、パフォーマンス等の様々な要素と、テクノロジーを融合した複合表現作品の創作を核として、シアターピース、インスタレーション等、多彩な創作活動を行なっている。

具体的な例として、2013年の瀬戸内国際芸術祭の開会式では、アクチュエータを使った大型の創作楽器2台、ソロサクソフォーン、8組のサクソフォーンカルテット、8名のスネアドラム奏者、8名のバスドラム奏者、8チャンネル音響等による空間表現作品を上演。2019年には、4つの大規模サウンドインスタレーションによる展覧会「natura」。直近、2026年の作品では、ストーリーテラーと4チャンネル映像等による「Select Humanize」を上演している。

吹奏楽作品では、交響的断章「渦」(1989)、「Noisy Sky」(1990)、「Winding Air」(1995)、「Thread」(2005)、「時間が空間を舞う」(2007)等がある。また、筑波科学万博、山形及び愛知国体、瀬戸内国際芸術祭等の開会式音楽も担当し、硬軟に捕われない幅広い創作活動を行なっている。現在:愛知県立芸術大学名誉教授

古希 〜Septuagénaire〜

Septuagénaire: I. Dévouement / II. Chant / III. Finale Caprice

天野正道指揮 副隊長 2等空佐 朽方 聡

70と7で組み立てた、祝いの3楽章

古希とは70歳のこと。天野正道は、CAFUAレコード取締役会長・笠井博の古希を祝ってこの曲を書き、いたるところに「7」を使った。7度の跳躍、1分間に70拍のテンポ、7つの音のフレーズ、7回の打撃音、7拍子。管楽器で7度を跳ぶのは難しく、そこも聴きどころになる。第2楽章は思い出の場面で、笠井の名前を音に置き換えた旋律が流れる。クライマックスでは、CAFUAができて間もない頃の大ヒット曲の一節が現れる。第3楽章は、7拍子が続く勢いのあるフィナーレ。3つの楽章は共通の主題でつながっている。

こんなバンドに
演奏会の中心に置く大きな曲を探している上級バンド。古希や70周年を祝う演奏会にも向いている。

I. Dévouement 5:26/II. Chant 5:45/III. Finale Caprice 7:42⁠(⁠計18:53)/グレード4

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演奏会の中心に置く、聴きごたえのある大きな曲を探している上級バンドにすすめます。全3楽章で約19分あり、メインの1曲として十分な規模です。

古希(70歳)を祝って書かれた曲なので、70周年の記念演奏会や、恩師の古希を祝う演奏会にも向いています。

演奏のポイント

曲のいたるところに「7」が隠れています。7度の跳躍、1分間に70拍のテンポ、7つの音のフレーズ、7回の打撃音、7拍子。練習の前にスコアから「7」を探してみると、曲の仕組みがよく分かります。

管楽器の7度の跳躍は難しいところですが、聴きどころでもあります。3つの楽章は共通の主題でつながっているので、楽章をまたいで同じ主題が出てくる場所を確かめ、全体をひとつの流れとして組み立ててください。

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作曲者による解説

この作品は、株式会社CAFUAレコード取締役会長笠井博氏の古希をお祝いする曲として作曲しました。3曲から構成されていますが、全曲通して7度音程、4分音符=70、7音によるフレーズ、7発の打撃音、7拍子など、古希に通じる70や7に拘って書いています。また、「循環形式」という各楽章で共通の主題、メロディーを用いる作曲法も使用しています。特に2曲目では、笠井博氏のお名前をアルファベット表記して、それぞれを音に当てはめて作ったメロディーを使っている箇所があります。もう一点、2曲目のクライマックスにはCAFUAレコード黎明期に大ヒット出版作品となった拙曲の「GR」よりシンフォニックセレクションの一部を引用しています。

作曲者について

1957年秋田市生まれ。1980年国立音楽大学作曲科を首席で卒業後、1982年同大学院作曲専攻創作科を首席で修了。在学中よりクラシック、現代音楽はもとよりジャズ、ロック、民族音楽から歌謡曲まで幅広い活動を行う。
卒業後、オーストラリアに赴き日本人で初めてC.M.I(Computer Music Instruments)をマスターし、日本におけるコンピューターミュージックの第一人者となる。
吹奏楽の分野では、20数年前から三善晃、矢代秋雄、黛敏郎の作品などを編曲し、当時の吹奏楽界に新たな旋風を巻き起こす。近年では吹奏楽のオリジナル作品の発表や、自身のオーケストラ作品を吹奏楽編成に編曲しての発表を盛んで、そのいずれもが高い評価を得ている。その他、多くのアーティストのアルバム、映画、アニメ、CM、テレビの音楽制作や海外での録音、指揮、作曲活動と活躍の場は国内外と広く及んでいる。

目次

  1. 1ウィナーズ
  2. 2アンリ・ファルマンの飛行
  3. 3この美しき空に
  4. 4夏空の彼方へ
  5. 5天空へ...
  6. 6狂詩曲「サウンド・バリアー」
  7. 7時間が空間を舞う
  8. 8古希
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